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a madman's diary

狂人日記

たけと君

たけと君は小学校二年生の終わりに転校していった。小学校二年生の終わりに転校していったたけと君は、タオル・ハンカチで洟をかむ男の子だった。そして、こころもち頭が大きかった。

二年生の教室は、校舎の二階にあって、窓には手すりが二本ついていた。ある日、たけと君はその二本の手すりの間に頭を入(い)れて、外を眺めていた。

そうして、抜けなくなった。

入(はい)れたのだから抜けるだろうに、始業のベルが鳴って、先生が隣で彼を静かに励まし、他の生徒がみな席について彼を静かに見守ると、いよいよ、たけと君は抜けなかった。

たけと君が抜けた瞬間を私は憶えていない。いつも洟をかんでいるタオル・ハンカチで、彼が涙をぬぐっていたのを憶えている。

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