a madman's diary

狂人日記

ウィーン

実家から徒歩十秒のところに住んでいる、生まれた時からの幼なじみは性根の優しい、素敵なひとである。

おじさんもおばさんも、田舎のふつうの日本人なのに、どういうわけだか、幼なじみは西洋人風の顔立ちに、栗色の巻き毛の、ウィーン少年合唱団だった。

コンプレックスも向上心も持ち合わせなかった彼は、適当に勉強をし、適当に大学を卒業し、地元に戻ってくると、自宅から徒歩五分のところにある小さな郵便局に就職した。

幼稚園のアルバムに載っている彼の将来の夢には、

「しんかんせんになりたい」

とある。いつからなのか、彼に一生追いつけないことを知ったのは。

「郵便局の可愛いお兄さん」として母親世代の心をさらった彼は、さいきん昇進して、別店舗へ移ったということである。

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